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『小梅日記を読む』 第1回④「ええじゃないか」

  • 執筆者の写真: 小梅 川合
    小梅 川合
  • 2025年9月23日
  • 読了時間: 3分

更新日:2025年9月24日

 お祓いがあちこちに降ったという12月7日の日記から4日後の慶応3年12月11日、城下の万町で、とうとう「ええじゃないか」の騒ぎにまで発展しました。万町(萬町)は本町2丁目からすぐ西隣に今でもある地名です。続く12日の日記には11日の出来事が詳細に書かれています。「わやにする」とは「無茶苦茶にする」という意味で今でも使われている言葉です。柿やみかんなど、他人の荷物でもお祭り騒ぎに紛れ容赦なく奪う様子が描写されています。

 桶屋町でも「ええじゃないか」が起こりました。桶屋町は本町4丁目の東に位置しており、現在では北桶屋町として地名が残っています。「山田の振出し」とは布袋に細かく刻んだ薬剤を入れ、お湯を注いで浸出し服用する薬のことです。

 なお、小梅日記では京都からの手紙を含め、一貫して「ヨイジャナイカ」と記載されています。後世の書物では「ええじゃないか」という呼び名が一般的なので、注目に値します。どことなく関西っぽくない響きの「ヨイジャナイカ」。京都でも和歌山でも、そう叫ばれていたとしたら、意図的な何かが関係しているのかも知れませんね。


「小梅日記」1867(慶応3)年12月11日、12日の項の原文=和歌山県立図書館蔵を複写        現物アクセスはインターネットで和歌山県立図書館デジタルアーカイブ→小梅日記→(8)→55
「小梅日記」1867(慶応3)年12月11日、12日の項の原文=和歌山県立図書館蔵を複写        現物アクセスはインターネットで和歌山県立図書館デジタルアーカイブ→小梅日記→(8)→55

左記原文を筆者川合小梅のひ孫志賀裕春さんが判読=平凡社東洋文庫が1972(昭和47)年~76年刊、村田静子校訂「小梅日記―幕末・明治を紀州に生きる」全三巻の第二巻に所収
左記原文を筆者川合小梅のひ孫志賀裕春さんが判読=平凡社東洋文庫が1972(昭和47)年~76年刊、村田静子校訂「小梅日記―幕末・明治を紀州に生きる」全三巻の第二巻に所収

(現代語訳)


慶応三年十二月十一日 晴れ

 

 今日、万町の洲本屋へ金の御幣が降ったといって皆、祝い、酒は酌んで飲み、下駄・草履のままで座敷へ上がり踊ったという。

 

 

 

慶応三年十二月十二日 晴れ

 

 昨日、万町の洲本屋の向かいにも御幣が降った。沢山の人が入り込んだので、終いには戸を閉めたという。柿・みかんを担っていたものを取り上げられ、「これは私の物ではない、人に頼まれたものだから」と断っても聞かず、「ヨイジャナイカ、ヨイジャナイカ」とわやにしたという。かぶらは荷ごと踏み叩かれ、怒っても、「ヨイジャナイカ、ヨイジャナイカ」と踊り、取り合わなかったという。


 桶屋町で老婆が炭を出していた時、後ろに観音の御影が降った。又、家の中の竈の口にも有って、大いに悦び、門へは笹を立て、小さい社へ安置し、神酒を供え、燈明を掲げ有難がった。又、人々が賽銭を上げ、拝みに来たという。古着屋で赤い襦袢二つを盗んで行く者がいたので、止めようとすれば、「ヨイジャナイカ、ヨイジャナイカ」と言う。全くわやな話だが、皆は悦びいっているという。


 小笠原という屋敷や、山田の振出し薬を売っている所へも降った。あちこちで沢山降った。粉河の長田観音へも沢山降ったとのことで、そろいの手拭いを紅で染めているという。駿河町の紅屋に手拭いを吊っているとのこと。

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